モンブランは1906年、ドイツ・ハンブルグで創業した。万年筆はじめ高級筆記具のブランドとしての名声は現在も不動である。またイタリア・フィレンツェで製作されるレザー製品の数々も、世界の一流品に数え上げられる。時には一生ものとして長い時間を持ち主に寄り添う筆記具や革製品は、モンブランに特別な地位を与えた。クラフトマンシップに対する裏切られることのない絶対的な信頼感と、それに応えるブランドの倫理観である。モンブランの製品は人生の記憶を分け持つのであって、最上の製品以上の意味を持つ。モンブランのステータスは、ブランドと持ち主が共有し続けるものだ。
モンブランのその立ち位置は、スーパーコピー時計 代引き専門店腕時計にはとくに明快である。ドイツの筆記具、イタリアのレザー、そして時計ブランドとしてのモンブランは、1997年のスタートから全製品をスイスで製造する姿勢を崩さない。さらには1858年創業の歴史を持つスイス屈指の名門マニュファクチュールであるミネルバが合流したことで、スイス高級腕時計の歴史と伝統、技術のすべてを再確認した。モンブランは考えうる限り、スイス高級時計ブランドとしての最良のものを揃えているのである。
そのモンブランが、今新たなフェーズを進行させている。現在モンブラン時計において注力するのは、見た目にも技術的にも“これはモンブランだ”とひと目でわかる特徴の確立だ。ただしそれは、流行を追うのではなく、ブランドのDNAに根ざした長期的なビジョンに基づくものだ。モンブランでは、時間をかたちにするうえで“Writing Time(時間を記す)”という哲学を掲げている。これは、万年筆づくりにおける手の技巧や精度がそのまま時計にも受け継がれているという考えに立ち、時計とは無形の時間という概念を、手で触れられるかたちに置き換える営みであるという立場を取っている。
また、モンブランは筆記具でも時計でも“使える道具であること(practicality)”と、“持つ人の感情を動かす美しさ”の両立を大切にしている。これは、たとえば氷河を思わせるグラッテボワゼのダイヤルや、ゼロオキシジェンのような“見えない技術”の搭載といった形で具現化される。後者は、技術性をあえて誇示せず、むしろ見えないところに信頼性を宿すという、モンブランの美学の表れである。
そうした作風についてモンブランは、「技術性、実用性、デザイン性のバランスを追求しながらも、最終的には所有者自身が時計にどのような意味を持たせるかによって、その役割は決まる」と説明する。時計が誕生日や昇進、結婚記念日といった人生の節目を祝う象徴として選ばれているように、こうした“人生の物語”に寄り添えることが“情緒的な価値”をもたらすのだという確信から、モンブランの時計はつくられる。前例のない画期的な技術であっても、それをあからさまに誇示するのではなく、時には見えないところに宿る信頼性として腕時計に溶け込ませるのである。ゼロ オキシジェンはその好例だ。
ゼロ オキシジェンは、モンブランの“山”に根ざしたDNAから生まれている。この技術は、伝説的登山家ラインホルト・メスナー(8000m超の14座すべてに無酸素登頂)ら登山家たちが直面する過酷な環境のために開発された。酸素ゼロの名のとおり、ケース内部から酸素をすべて取り除き、窒素ガスに置き換えるという前例のないテクノロジーである。これにより、高地での急激な気温変化による曇りを防げることができる。また時計ケース内が酸化を防止する環境になることにより、パーツの寿命は画期的に延び、精度も長期間にわたって維持することが可能になる。
氷河をまとったダイバーズと世界を巡るコンプリケーション
モンブラン アイスシー オートマティック デイト ゼロ オキシジェン
(左)Ref.MB134025。48万1800円(税込)
酸素ゼロのSSケース、ホワイトラバーストラップ。ケース径38mm、厚さ12.3mm。30気圧防水。自動巻き、Cal.MB24.17/SW200搭載。
(右)Ref.MB134022。51万400円(税込)
酸素ゼロのSSケース、SSブレスレット。ケース径38mm、厚さ12.3mm。30気圧防水。自動巻き、Cal.MB24.17/SW200搭載。
モンブラン アイスシー オートマティック デイト ゼロ オキシジェン Ref.MB134023。48万1800円(税込)
酸素ゼロのSSケース、ブルーラバーストラップ。ケース径38mm、厚さ12.3mm。30気圧防水。自動巻き、Cal.MB24.17/SW200搭載。
氷河のシルエットとその下を潜るダイバーが、3Dエングレービングで描かれている。
同社で唯一のダイバーズウォッチコレクションであるモンブラン アイスシーに今年、38mmの新サイズが登場。このサイズダウンは、日本をはじめとする小径志向の市場ニーズに応えたものであり、小振りなケースによって新たなファン層を開拓したいという狙いが込められている。しかもゼロ オキシジェン仕様だ。ゼロ オキシジェンという特殊構造を、既存の41mmから38mmへと落とし込むにあたっては、設計上の工夫もあったという。38mmのコンパクトなケースは、ラグやベゼルのプロポーションがよく練られており、手首を引き締めながらも快適な装着感を保っている。小さすぎず、大きすぎず、その絶妙さがこのモデルの魅力だ。
そもそもモンブラン アイスシーはブランド初、唯一のダイビングウォッチとして誕生したコレクション。山のDNAを持つモンブランはこの時計を、ダイビングの冒険心とモンブラン山塊の最大の氷河メール・ド・グラースの雄大な美にインスパイアされた時計として定義した。ダイヤルは古典的な伝統技法であるグラッテボワゼの手法で仕上げられた、グレイシャー(氷河)パターン。グラデーション効果を与えたライトブルーとピュアホワイトの2モデルはそれぞれに魅力的である。
我々のニーズに的確に応えた無理のない価格設計の、プロフェッショナルスペックダイバーズ。ゼロ オキシジェンでアップデートされたモデルは、無上の安心感を呼ぶ。
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モンブラン 1858 ジオスフェール ゼロ オキシジェン マウントヴィンソン リミテッドエディション Ref.MB134019。130万3500円(税込)
酸素ゼロのクォーツ繊維、アルミめっきを施した玄武岩繊維、CaCO₃、ライトブルーレジンのコンポジットケース、交換可能なブルーグリーンラバーストラップ。ケース径43.5mm、厚さ13mm。10気圧防水。自動巻き、Cal.MB 29.25搭載。世界限定986本。
1858 ジオスフェールの裏蓋いっぱいに広がるのは、3Dカラーレーザーでエングレービングされたヴィンソン・マシフ山だ。
ケースサイドには、ヴィンソン・マシフの輪郭がほのかに光をたたえながら刻まれ、静かに存在を主張している。
ワールドタイマーの1858 ジオスフェールは、モンブランのDNAのなかでも冒険的な要素を担うコレクションだ。文字盤上には赤道で真っ二つにした地球があり、それぞれが自転する。地球のそのままを再現し、世界中の時間を一目で見渡せる。独創的なワールドタイマーはそこに現れた挑戦すべき全ての山が象徴するような、冒険性の方向性を可視化しているのである。
そのコレクションが今年リリースを開始したのは、ラインホルト・メスナーが成し遂げた7大陸最高峰登頂に捧げるシリーズである。新作である最初のゼロ オキシジェン エディションは、メスナーが7番目に登頂したヴィンソン・マシフ山をテーマとしたモデル。標高4892mを誇るこの南極大陸最高峰にメスナーが登頂した1986年にちなみ、986本の限定生産である。ケース素材には、グレード5チタンと独自の複合素材を組み合わせている。ミドルケースは、石英や玄武岩の繊維に青いレジンを加えたもので、まるで南極の氷河をそのまま削り出したかのような、冷たく神秘的な質感をもたらす。サイドにはヴィンソン・マシフ山のルミナスグレーの輪郭、チタン製ケースバックには雄大な山頂の3Dカラーレーザーのエングレービングが施されている。
ケース径は43.5mmとしっかりとしたサイズながら、装着感はそれに反して軽やかだ。短めのラグ設計に加え、素材に採用されたチタンが功を奏し、重さを感じさせない仕上がりとなっている。チタンの堅牢さと、氷河を模した複合素材の透明感。この対比が、ジオスフェールの持つ冒険と時間の二面性を象徴している。素材そのものがストーリーを語る構成なのだ。
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空気を奪い、時を与えたゼロ オキシジェンが照らす未来
ハンブルグの筆記具、フィレンツェの革製品は、それぞれに世界の一流品である。そこに高級腕時計のゆりかごであるフランス語圏スイスの腕時計を加えたモンブランの三位一体は、ほかに例をみない魅力のトライアングルを描く。ゼロ オキシジェンという特殊構造を38mmの現実的なサイズに搭載したアイスシー。そして冒険的な表現に振り切ったジオスフェール。それぞれの新作が描くのは、最先端のテクノロジーを装備しながら、長い人生の時間に寄り添う存在としての物語である。アイスシーが氷河の“内側”を思わせるとすれば、ジオスフェールは山の“外観”と地球そのものの姿を俯瞰する存在だ。
モンブランという名前が綴ってきた信頼のヒストリーを、腕時計も裏切らない。ブランドの名前は多くの時計ブランドのように個人名ではなく、振り仰ぐヨーロッパアルプスの最高峰から採られている。そこに息づくのは世紀を超えて継承されてきた規範であり、終わらないロマンである。