華やかなデザインや独創的な機構を挙げる人は少なくないだろうが、このブランドの本質は、夢のような時計をつくるために挑戦する姿勢にある。そして、その象徴となるのがトゥールビヨンなのだ。
華やかなデザインやスタイルで人気を博す時計ブランド、フランク ミュラースーパーコピー代引き優良サイト。しかし時計愛好家にとっての同ブランドは、現在市場を賑わせる独立時計師のはしりであるフランク・ミュラー氏を中心とし、卓越した技術力で勝負してきた技巧派であることを忘れてはいないだろう。
1979年にジュネーブの時計学校を首席で卒業した彼は、企業には属さずミュージアムピースの修復やコレクターのためのオーダーウォッチの製作を始めた。彼はこの時から現在に至るまで、時計愛好家のための時計をつくるという姿勢を崩していない。
1987年に独立時計師アカデミー(AHCI)に参加し、オリジナルウォッチの製作に力を入れ始めたフランク・ミュラー氏が注目したのが、トゥールビヨンだ。1801年に特許が取得されたこの機構は、調速脱進機を重力による姿勢差を解消するために回転させるというものだが、ほとんど製造されることがなかった幻の機構だった。1980年代になっても腕時計に搭載された事例はほとんどなかった。キャリッジが回転する不思議な姿は、機械式時計のロマンを表現するもの。フランク・ミュラー氏はそこに引かれたのだ。
フリー オシレーション トゥールビヨン(1986年)
1986年に発表したフリー オシレーション トゥールビヨンは、彼にとって初のトゥールビヨンウォッチであり、時・分・秒の表示が独立した世界初のレギュレーター式トゥールビヨンでもあった。そしてこれ以降、フランク ミュラーはトゥールビヨンを時計機構の中心に据え、そこにスプリットセコンドクロノグラフやパーペチュアルカレンダーといった複雑機構を組み込むグランドコンプリケーションの開発へと舵を切っていく。その代表作が1996年に誕生した優美なトノウ カーベックスケースのミニッツリピーター インペリアル トゥールビヨンである。
フランク ミュラー=トゥールビヨン。そんなイメージが広がるなか、彼らはまた新たなチャレンジを行った。それが2002年に発表されたトゥールビヨン レボリューション1だ。これは時計業界初の自社製フライングトゥールビヨンウォッチであり、キャリッジを支えるブリッジを排除することで、よりトゥールビヨンの美しさを際立たせることに成功した。しかも浮遊感を表現するためのギミックを加えており、8時位置のプッシュボタンを押すと時・分針が12時位置に移動し、6時位置のトゥールビヨンキャリッジがせり上がってくる。それは高精度機能であったトゥールビヨンにエンターテイメント性を加えるというチャレンジであり、それまで誰もやったことのない時計で愛好家を喜ばせたいという、ブランドの思いが結実した特別な時計となった。
フランク ミュラーの創造性は、常にトゥールビヨンを媒介にして発揮されてきた。トゥールビヨンを進化させることは、同ブランドにとって、ずっと変わらぬ大切な指針なのだ。
フランク ミュラーのトゥールビヨンの歴史を知る
革命的なトゥールビヨンの誕生
2002年に発表したトゥール ビヨン レボリューション1によって、まさしくトゥールビヨンに革命を起こしたフランク ミュラー。だが、それで終わりではなかった。
そもそもトゥールビヨンが考案されたのは、ポケット内で起立した状態の懐中時計に対し重力が一方向にかかり続けることで生じる姿勢差を解消するためだ。しかし腕時計の時代になり、重力はあらゆる方向にかかることになった。そこでフランク ミュラーは、一方向に回転する通常のトゥールビヨンだけでは満足することなく、さらなる姿勢差を平均化させる挑戦を続け、水平方向と垂直方向に回転する2軸回転方式のトゥールビヨンを開発。2003年にトゥールビヨン レボリューション2として発表し、さらにその翌年には3軸回転方式のトゥールビヨン レボリューション3を発表した。
この3軸のトゥールビヨンはそれぞれ回転速度が異なり、1番内側のキャリッジは1分間で1周、2つ目のキャリッジは8分間で1周。そして1番外側にある一番大きなキャリッジは1時間で1周する。この3軸トゥールビヨンは世界初の機構だった。さらに、このような大型キャリッジを回転させるにはかなりのトルクを要するが、それでも約10日間のパワーリザーブを実現している点も驚きである。
こういったハイコンプリケーションモデルは、ジュネーブ郊外のジャントゥ(Genthod)にあるフランク ミュラーのマニュファクチュール、“ウォッチランド”で製造されている。ハイコンプリケーションモデルを担当する時計師は20人弱という大所帯だ。ここで製作される時計のなかでも、やはりトゥールビヨン レボリューション3の難易度は群を抜くという。
例えば、トゥールビヨンキャリッジの調整は、まずはセンターになるノーマル回転のキャリッジを完璧に調整し、それから2軸目と3軸目がきちんと回るように調整する。しかしどれだけ完璧に加工されたパーツを使っても、組み合わせによるクセが出る。そのため、調整だけでも1週間かかる場合もあるそうだ。またそういった個体ごとのクセを把握するために分業にはせず、ひとりの時計師がひとつの時計が完成するまで担当するという。これはメンテナンスや修理においても同様で、組み立てた時計師が責任をもってアフターサービスの面倒も見るそうだ。
今では複数のブランドから多軸式トゥールビヨンがリリースされているが、その嚆矢となったのはフランク ミュラーである。誰も見たことのない時計をつくり、愛好家を喜ばせたいという精神は、今もなおブランドに継承されている。いまやフランク ミュラーの時計づくりを支えるのは、ひとりの天才時計師だけではない。“独立時計師級”とも言うべき卓越した技術を持つ約20人にもおよぶ時計師たちが、数々の独創的なトゥールビヨン、コンプリケーションウォッチ製作を担っているのだ。
フランク ミュラーが持てる技術を結集して作り上げた究極のコンプリケーションウォッチ、エテルニタスのなかでも最高峰となるエテルニタス メガ4。限られたスペース内に微細なパーツが考え抜かれたレイアウトで収まり、36もの機能を実現する。