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レイモンド・ウェイル ミレジム スモールセコンド 35mm “メンソール”が新登場。

レイモンド ウェイル ミレジム スモールセコンド 35mm “メンソール”は、ひと言でカテゴライズするのが難しいモデルだ。このスイス製ウォッチが、百貨店や空港でありふれた腕時計と並んで販売されているのを見かけることがあるかもしれないが、これを単なる“モールウォッチ”と片づけてしまうのは早計である。ジュネーブを拠点とする家族経営のブランド、レイモンド ウェイルは近年ひっそりとデザイン言語を進化させており、熱心な時計愛好家に訴求しつつ初心者にも親しみやすいモデルを提案している。このモデルは伝統的な時計づくりの要素と現代的な感性を絶妙に融合させ、本格的なスイスのクラフツマンシップを34万1000円(税込)という手の届く価格で提供する、ウブロスーパーコピー代引き優良サイトまさに進化の象徴なのだ。長年、量販店向けのバリュー志向な時計で知られてきたブランドにとって、このミレジムはより野心的な1歩を示し、そして手に取りやすさと考え抜かれたデザインは両立し得ることを証明する存在である。

Raymond Weil Millesime
はじめに、レイモンド ウェイルの直近の歴史と近況について少しお伝えしよう。このブランドは、メイシーズ(Macy's)やブルーミングデールズ(Bloomingdale's)、あるいは空港の免税店で見かけたことがある人がいるように、良質なスイス製ウォッチを手頃な価格で求める幅広いカジュアルな購入者層をターゲットとしてマスアピールを行い、プロダクトを展開してきた。しかしジュネーブを拠点にベルンハイム家が創業し、半世紀近くにわたり経営、所有してきたこのブランドは近年ではより洗練され、時計について豊富な知識を持つ愛好家にも響くような製品を次々と送り出している。そう、この愛好家とはHODINKEE読者のような人たちのことである。

このようなブランドの新たな魅力は、2023年に発表されたミレジムコレクションによってもたらされたものだ。ワインの世界で“ヴィンテージ”を意味するフランス語を冠した同コレクションは、年間でおよそ7万5000本生産されている。その多くが空港や百貨店でカジュアルなユーザー層に購入される比較的生産規模の大きなスイスブランドから登場したモデルでありながら、往年のスイスの時計から着想を得た、意外なほど抑制の効いたデザインだった。ミレジムはその年、ジュネーブウォッチグランプリ(GPHG)の“チャレンジ”部門賞を獲得し、ブランドがいまだ業界屈指の実力を持つことを示した。時計は大ヒットし、ミレジムは瞬く間にブランドにおけるビジネスの重要な柱のひとつとなり、売上の約40%を占めるまでに成長。洗練された無駄のないデザインはヨーロッパの嗜好にもマッチし、同地域でのブランドの存在感を大きく押し上げる結果となった。

Raymond Weil Millesime
そして2025年、レイモンド ウェイルは新たに9本のミレジムコレクションを発表し、39mmのクロノグラフ3本に加え、スモールセコンドを備えた小振りなタイムオンリーモデルを4本ラインナップする。なかでも私の目を引いたのが、新作のひとつであるRef.2130-STC-60001だ。既存のモデルと比べるとクラシックな配色とは言いがたいものの、この時計ではブラックアンスラサイトのセクターダイヤルに、ブランドが“メンソール”と呼ぶミントブルーグリーンカラーのミニッツトラックを組み合わせた。

そう、メンソールだ。なんとも粋な演出だと思う、レイモンド ウェイル。

サーモン、シルバー、クリームといったよりクラシックな文字盤のバリエーションと同時に発表されたこのモデルは、クラシックかつヴィンテージ調の佇まいを保ちながらも“メンソール”のアクセントがきわめて現代的で、トレンド感のあるデザインとなっている。実のところ、このミニッツトラックは昔、祖母がこっそり隠していたクールのタバコのパッケージを除いてヴィンテージとはほど遠い色味だ。

Raymond Weil Millesime
とはいえ、これは決してファッションウォッチではない。しかし、まさに“いま”をとらえた時計ではある。直径35mmというトレンドに合ったサイズ感でまさに旬の1本でありながら、強くカラトラバを彷彿とさせる雰囲気を漂わせている。大胆な色味のミニッツトラックとスモールセコンドが“メンソール”の個性を際立たせているが、それ以外の構成要素は堅実でコンパクト、そして手に取りやすい価格帯に収まるスイスのウォッチメイキングといったところは過去のクラシックな美意識に深く根ざしたものである。

最大の特徴は、いわゆる“アンスラサイト”ブラックのセクターダイヤルである(アンスラサイトは、通常の石炭よりも多くのエネルギーを生み、価格も高い石炭の一種)。このダイヤルは絶妙にツートーン仕上げになっており、視認性を高めている。内側のリングは外側に比べて明らかにグレー寄りの色調で、外周部のより深いブラックがホワイトのアプライドインデックスを美しく引き立てている。植物を思わせる色合いのミニッツトラックの外側には、ボックス型サファイアクリスタル風防を囲むヘアライン仕上げのベゼルが配されており、ヴィンテージ感をさらに強調する。

Raymond Weil Millesime
ケース径は35mmという数値以上に大きく感じられるが、その理由のひとつはしっかりとしたサイズ感の貫通ラグにある。上面はポリッシュ仕上げ、側面はヘアライン仕上げが施されており、ケースとの統一感を保ちながらもヴィンテージらしい魅力を添えている。“RW”のエンボスが入ったローレット加工のリューズは、セリタベースのムーブメントRW4250をなめらかに巻き上げる。また、裏はサファイアクリスタル製のシースルーバックとなっており、自動巻きムーブメントの姿を楽しむことができる。

あえて気になる点を挙げるとすれば、巻き上げローターの動作音がやや大きく、手首を動かすと軽くカラカラと音が聞こえるところだろうか。ライトブラウンのカーフレザーストラップにはロゴ入りの尾錠が組み合わされており、絶妙なカラーチョイスでラフな印象を演出し、意図しすぎない自然な仕上がりとなっている。ストラップ自体のクオリティは高く、加えて貫通ラグのおかげで交換やアップグレードも容易に行える。

Raymond Weil Millesime
やや長めのラグを備えてはいるものの、35mmというケースサイズのおかげで、“メンソール”は誰にでもフィットする万能な1本となっている。クラシカルなカラトラバ風のフォルムとデザインは、ジュネーブにあるもうひとつの家族経営による独立系ブランドへのオマージュを感じさせる。もっとも、34万1000円(税込)いう価格設定からもわかるとおり、レイモンド ウェイルはまったく異なるフィールドで勝負していると言えよう。そして“メンソール”は、クラシカルに整ったデザインにミニッツトラックで意外性のあるカラーを差し込むことで、ほどよく“モダンなアクセント”を効かせた1本に仕上がっている。すっと手になじむ、そんな自然さがある時計だ。

レイモンド ウェイル ミレジム スモールセコンド 35mm “メンソール”の詳細はこちらからご覧いただけます。