ミンがダークサイドに落ちたかのような時計が新登場。
29コレクション初のワールドタイマーの発表から2年、ミンは“ミッドナイト”エディションで29.01をダークサイドへと誘った。今年初めに登場した、ブラックDLC仕様のダイバーズウォッチ37.09 Uniを記憶している愛好家も多いことだろう。ブルーとスティールを基調とした兄弟モデルに対して、漆黒をまとったバリエーションであった。ミンのチームはこのコンビネーションを大いに気に入り、29.01にも同様のアプローチを採用することを決定した。結果として、デザイン的に革新性はないものの、依然として揺るぎない“ミンらしさ”を貫いたモデルに仕上がっている。
Ming 29.01 Midnight Standing Up Shot
エルメススーパーコピー代引き優良サイトケースは直径40mmのグレード5チタン製で、これまでの29.01シリーズと同様に、ブランドを象徴する“フライングブレード”ラグと、なめらかな曲面で構成されたケースサイドを備える。今回はブラックDLCコーティングを施し、深く艶のある漆黒を実現している。全体の厚さは11.8mmで、上面はベゼルを排し、ボックス型サファイアクリスタルで全面を覆っている。ポリッシュ仕上げを施したラグの上下には光沢のあるDLC、マット仕上げのケースサイドには落ち着いた質感が与えられ、メタルとガラスの境界が自然に見えるよう、巧みに処理されている。
ダイヤルは、ミンが得意とするサファイアディスクを重ねた多層構造を踏襲している。ベースとなる金属製ダイヤルには細かなテクスチャーが施され、24時間表示がプリントされている。その上に、都市名をプリントした固定式のサファイア製ダイヤルが重なる仕組みだ。ベースダイヤルは外周のボールベアリングトラックにより回転し、各都市の現在時刻を24時間表示で示す構造となっている。針もサファイア製で、ダイヤル上の都市名表示に加えてハイセラム部には蓄光素材であるスーパールミノバX1が充填されており、暗所でもミンらしい美しい発光を見せる。24時間スケールの印字部分には、オレンジのスーパールミノバが使われている。
29.01 Caseback Shot ASE 222
裏蓋はドーム型のシースルーバックで、Cal.ASE 222が姿を現す。これはスイスのシュワルツ・エチエンヌがミンのためだけに製作した自動巻きキャリバーだ。ミン・ティエン(Ming Thein)氏の美学が随所に表れており、特にブリッジのデザインは彼自身の手によるものである。2023年の29.01 ドバイエディションに続き、本機のムーブメントも5Nローズゴールドで仕上げられており、クラシックな色調が全体の漆黒のなかで美しいコントラストを描いている。スケルトン加工された香箱、曲線を描くドーナツ状のタングステン製マイクロローター、ていねいなアングラージュ(面取り)など、細部に至るまで目を楽しませてくれる。
29.01 ミッドナイトにはFKMラバーストラップと、ケース同様にDLCコーティングが施されたバックルが付属し、価格は2万2000スイスフラン(日本円で約385万円)となっている。
我々の考え
最初に断っておくが、私は基本的に時計へのコーティング処理があまり好きではない。確かにDLC処理はたいてい十分な耐久性を備えている。それでも、コーティングされた時計では指紋が付きやすく、それを拭き取る手間が気になってしまうことが多い。先月ジュネーブで開催されたTime to Watchesでこの時計を撮影した時の写真からも、そうした様子が多少うかがえるかもしれない。とはいえ、ミンの超モダンなデザインはDLC仕上げと非常に相性がよく、自分でも所有したいと思うモデルも出てきている。そして29.01 ミッドナイトこそ、まさにそのひとつだ。確かに、これは新しいカラーバリエーションに過ぎない。しかしデザインにおける完成度は一段と高まったと感じている。チタン製の初代29.01は、一見すると比較的控えめな印象だったが、よく見ると洗練されたディテールが隠されていた。今回のジェットブラックの装いとラバーストラップの組み合わせは、そのミステリアスな魅力をさらに強調している。ダイヤルの各要素が、黒い虚空に浮かんでいるような視覚効果を生み出しており、実物を見るとその演出が見事に伝わってくる。
Ming worldtimer 29.01 Midnight
およそ2万7000ドルという発表時点の価格からも分かるように、29.01 ミッドナイトはミンのラインナップのなかでもハイエンドに位置するモデルである。興味深いことに、2023年11月に発表された25本限定のドバイエディションは現在もミンの公式ウェブサイトで注文可能となっている。アラビア語表記のダイヤルがグローバルな市場での訴求力をやや限定している面もあるだろうが、それ以上に、かつてのように発売と同時に即完売していたころの狂騒とは異なる状況になってきたと言える。
もっとも、こうした変化は消費者にとって決して悪いことではない。近年のミンは、中核となる量産モデルの展開や、直販モデル一辺倒から脱却して正規販売店との提携を開始するなど、明らかに変化、あるいは“成熟”へと向かう兆しを見せている。依然として人気は高く、GPHGを受賞した37.09 ブルーフィンのようなモデルは完売が続いているが、以前のような注文期間に縛られず、多くのモデルをじっくりと検討できるようになった点は歓迎すべき進展だ。
そして何よりもうれしいのは、ミンが設立から8年を経ても、革新的なデザインへのこだわりを一切失っていないという事実である。その姿勢こそが、ブランドの魅力を支え続けている。
基本情報
ブランド: ミン(Ming)
モデル名: 29.01 “ミッドナイト”
直径: 40mm
厚さ: 11.8mm
ケース素材: グレード5チタン(ブラックDLCコーティング)
文字盤色: 黒
インデックス: プリント
夜光: スーパールミノバ
防水性能: 5気圧
ストラップ/ブレスレット: ブラックFKMラバーストラップ、ブラックDLCコーティングを施したバックル付き
ムーブメント情報
キャリバー: シュワルツ・エチエンヌ製ミン専用 ASE 222
機能: 時・分表示、ワールドタイマー
直径: 30mm
厚さ: 5.6mm
パワーリザーブ: 86時間
巻き上げ方式: 自動巻き(マイクロローター)
振動数: 2万8800振動/時
石数: 31
クロノメーター認定: なし
価格 & 発売時期
価格: 2万2000スイスフラン(日本円で約385万円)
発売時期: 発売中(ミン公式および正規販売店にて)
限定: 25本限定